ミニマリスト日記

仕事、子育て、ミニマリズムなど。

『天才』~石原慎太郎

前回の更新が5月。夏を通り越して秋になってしまった😅

淡々と日々を過ごしていると良くも悪くもブログのネタがないので、 書評など書いてみよう。

石原慎太郎著『天才』。

田中角栄の生涯を描いた内容だが、面白いのは田中角栄金権政治批判の急先鋒である石原慎太郎角栄を”一人称”で書いている点だ。自伝のようにも小説のようにも読めてしまう。 わずかに慎太郎が出てくるところもあり、角栄視点で語られている表現も気が利いている。

僕はほんのわずか田中家とはかすり程度の無縁に等しい縁があり、読んでいて複雑に感じる部分もあった。 故人とは言え家族関係まで描いてしまうのか・・・いや、大物政治家たるもの第二婦人、第三婦人くらいいるのだろうが・・・ (別記事にするが当の慎太郎が当人と夫人の死後出版するように命じた遺筆も、家庭が完全に円満でない点が描かれている)

男が第二の家庭を持つというテーマは僕も興味があるのだが、まぁいったんは置く😇

田中角栄の政策には賛否盛り上がるだろうが、例えば高齢者の医療負担無料は今の日本社会に致命的打撃を与えていて最悪だ。 石原が批判した金権政治を象徴する場面も本書に幾多に登場する。 一方で、田中角栄愛国心は疑いようもなく、大臣時代には日本の基幹産業を守り、アメリカに対するある種の嫌悪感は当時の 大物政治家に共通するものだ。その結末がロッキード事件というのは日本の現実をつきつけられるが。

ところで本書と関係ないが角栄といえばひとたらしで、選挙ともなればスーツに革靴のまま田畑に飛び込み農家と握手して回ったという逸話はあるが、 僕は小池百合子都知事の選挙戦にも近いものを感じた。 小池都知事は選挙戦を島しょ部から始めており、続いて奥多摩に向かった。 東京は消費の街であるが、支えているのは農業、漁業、建築土木関係者である。さすが3期も都知事を続けるだけあって、 小池都知事は何が大事なのかよくわかっている。

Kindleで読んだので本の厚さはわからないのだが、サクサクと話が進み2時間程度で読めてしまう。 小説として楽しんでも良いし、日本の戦後史の一部を体感できる素晴らしい本だった。