仕事には2種類ある。
- 手を動かして稼ぐ
- 稼ぐ仕組みを作る
グローバル化が進み、超高齢化社会に突入し日本経済が衰退する中で、
僕たちはどんな働き方をしてこの荒波を乗り越えていけば良いのだろうか。
仕事は仕組みづくりが大事
一般的には自分で手を動かさず仕組みを作る方がスキル的にもキャリア的にも良いとされている。
僕の会社での仕事は協力会社を使ってプロジェクトを進めることだ。
作業自体は協力会社の人たちが行ってくれるので、僕は細かい仕様の確認やスケジュールを管理している
に過ぎない。協力会社や作業者をモジュール化するために、ある部分はマニュアル化したり、
プロジェクト管理のフレームワークを作ったりする。
ここで大事なことは仕事を協力会社や個人に依存したりブラックボックス化しないように、
一定のスキルセットの範疇では誰に頼んでも安定した成果を出せる仕組みを作ることだ。
いかにもサラリーマン的な仕事に見えるだろうが、仕組みを作ることで、
例えば僕ひとりでは1年かかる仕事を、1ヵ月で終わらせることができるのだ。
自分で作業せず仕組みを作りマネジメントすることは昭和的な表現を使えば、
スペシャリストよりゼネラリストと言ったところだろうか。
事業をスケールするという意味では、たしかに仕組みづくりが大事という発想は理解できる。
しかし個人の働き方として、ゼネラリストを目指すことはいつの時代でも通用するのだろうか。
個人で生き抜く時代の専門性
一方で、ある分野に特化した専門性を追求するという考えもある。
僕の場合、この専門性が圧倒的に足りない。
なので最近ではWeb技術やデータ分析といった分野の専門性を身につけるべく、
個人事業や会社での仕事をアサインするようにしている。
そしてなるべく、自分自身が手を動かして覚えるようにしている。
クラウドサーバーを構築したり、プログラミングすることもその一環だ。
また会社でも自分自身をデータの統合/分析という仕事にアサインし、その分野でも高い専門性を
身につける方向に舵を切った。
なぜあえて専門性を身に付けたいかというと、個人の時代を生き抜くためだ。
いままでの働き方はより安定した組織に所属し、組織に守ってもらうのが効率的な戦略だった。
組織で出世するためには、ゼネラリストを目指す必要があった。
しかしグローバル化が進み世界のルールが変わりつつある中で、組織に献身し守ってもらうという
発想では自分の人生は守ることができないのだ。
僕の勤める業界は20年前は花形産業だった。
今でいう外銀や商社のように、一流大学の優秀な学生たちの応募が殺到した。
僕の勤める会社も、20年前は30歳前後で年収1,000万円は軽く超えていた。
出世すれば年収2,000~3,000万円も夢ではない給与テーブルだったのだ。
社員たちはそのポジションを得るために、会社に人生を捧げ、がむしゃらに働いた。
しかしそのポジションを掴みかけた瞬間、彼ら彼女らを待っていたのは非情なリストラだった。
数年前、40歳以上の社員を対象に大規模なリストラが行われた。
社員たちは毎日のように上司に呼び出され早期退職を促され、逆らった者は追い出し部屋に送られる。
その上司だって部下や同僚のクビを切らなければ自分が切られるので必死だ。社員は疑心暗鬼になり
増額された退職パッケージを手にして退職していった。
だが本当の地獄はここからだった。
業界に、いや、会社に特化したキャリアを気づいてきてしまったため、企業の肩書きを失った
彼ら彼女らは社会では無力だったのだ。転職できず、独立しても失敗し、静かに消えていった。
残された僕たちはそんな諸先輩方と同じ過ちは繰り返してはいけないのだ。
いかにスキルをコモディティ化させないか
特定分野の専門性に特化したり、会社本位にゼネラリストになることは危険である。
なぜならその分野がコモディティ化したり、組織の力が弱まれば、それは僕たち個人が競争優位を
無くすことになるからだ。
スキルのコモディティ化は例えばWebデザイナーという職種が良い例だ。
インターネットが普及し始めた頃、Webデザイナーは人気の職種だった。
しかし今ではWebデザイナーは掃いて捨てるほど労働市場にあふれてそのスキルもコモディティ化
しているので、待遇は最悪である。身につけたスキルは一瞬で陳腐化してなくなり、次から次へと
新しい技術にキャッチアップしなければならない。しかし労働市場に若い人材がひっきりなしに
投入されてくるので、賃金も上がらない。まさに負のスパイラルである。
もちろんこの現象は他人事ではない。どの分野がいつ廃れるか、つまりジャンクスキル化するかは
予想できないからだ。
僕は一つの解として複数の分野で専門性を身に付け、そのシナジーをコアコンピタンスにすることが
良いと考える。
例えば僕の場合、
- マネジメント
- Web技術
- データ分析
- 英語
という複数のスキルをそれぞれ伸ばし、掛け算式に仕事の面積を増やしていきたいと考えている。
ドラゴンクエスト3では攻撃呪文に特化した魔法使いと回復呪文に特化した僧侶という職業が
あるが、両方の呪文が使え、しかもそれなりに強い武器を装備できる賢者という職業が
出てきた途端、魔法使いと僧侶はいらない子になってしまう。
複数の分野で深い専門性を身につけることが個人の時代で生き残るためには必要なのだ。
究極的には自分でなんでもできることが身を守ることにつながる
僕はなにも起業して超絶金持ちになるとか、丁半博打みたいなことを考えているわけではない。
どんな状況でも、最低限自分と家族の生活は守り、プラスαで生活の質が向上すれば良いと
思っている。
そのためには、特に個人事業を安定化させ収益を伸ばすという意味では、自分でなんでもできる
ということがすごく大事なのだ。
参考としてこの書籍はおすすめだ。
The Shift: The Future of Work is Already Here
Lynda Gratton
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
P・F. ドラッカー
どんな荒波が襲ってこようと、僕たちは穴の空いた船にしがみついて黙って沈むわけにはいかないのだ。